2012年11月15日木曜日

不治の病と老化に立ち向かう!:33rd TEDee @ 京大吉田 

こんばんは。まっきーです
(このブログはかなりの部分をなおやくんに書いて頂いております。
本当に感謝しきれません、ありがとうございます<m(__)m>)。

今週水曜日は33rd TEDee @ 京大吉田キャンパスでした!
8人くらいで適度に熱い議論をしてきました。



エリオット・クレーン:慢性痛の謎



最初のビデオは慢性痛についてです。
皆さんは慢性痛をご存知ですか?・・・実はけがをしていなくても、痛みを感じる病なのです!
想像してみてください。普通は羽根で手をなでられても、何も痛みを感じません(むしろくすぐったいかも笑)。しかし、慢性痛の場合は、これがバーナーで焼かれたような激痛を感じるのです。

クレーン氏は、小児科と麻酔科の医師として、このような病を抱えるある少女を治療した経験によると、現在の医療技術では根本的な痛みを取り除くことができません。症状を抑える痛み止めなどで痛みを和らげることしかできません。
しかし将来的には痛みの原因となるものをまるごと取り除くことが可能になると主張しています。

ディスカッションでは、2グループに分かれたのですが、それぞれアプローチも理系・文系と完全に分かれました。


理系のグループでは、二つのトピックについて話しました。
一つは体内器官の影響関係についてです。私たちは意識によって体をコントロールしている、つまり脳と体は従属関係にあると思いがちです。しかし、今回の事例をとっても、実際は体内器官は相対的にお互いに影響を及ぼし合うという事が分かります。
TEDee初参加の平高君がこれの良い例を紹介してくれました。
ある囚人が手首を切ると言われ、そして自分の血がポタポタと落ちる音を聞いて死に至るという話です。実際には手首は切られておらず、ポタポタと落ちる音は近くの水の音でした。にもかかわらず生物的に死に至たということは、体内器官の相対関係を裏付ける証拠であります。

もう一つのトピックは現在の医療技術についてです。現在の薬は、症状の緩和や抑制、もしくは予防であり、根本的に病原を取り除くものではありません。あくまで被投薬者の免疫系に依存しているのです。

この二つのトピックを結びつけるものとしてプラセボ効果が取り上げられました。薬にはプラセボ効果が大きく、私たちが思うよりも実際の「薬学的な」効果が少ないのです。しかし、その薬がその効果以上に有効であるのは、私たちの心理が意識の枠外で無意識に体に影響を及ぼしているからなのです。



文系の方では、一つ目に難病を抱える人々が社会に与える影響について話し合いました。
白血病患者の方などが書かれている本がたびたび話題になりますが、我々はその本に込められた彼らの苦しみや、苦しみから得た経験・哲学・生き方に対する考え方を汲み取ることで、生き方を見直すことができていると思います。
個人的には大野更紗さんの『困っている人』という本が印象に残っていたので、その話もやや話しました。

そして二つ目には、現段階でも孤独死や高齢者の介護負担等が社会的問題として浮き彫りとなっていることについて、その背景や負担軽減のための方法について話し合いました。
アメリカから留学中のメアリーさんは、スペインでは高齢者の介護以前に、高齢者の自殺が多いことをはなしていらっしゃいました。長生きすることで孤独でいることに対する疲れなどが主な原因のようです。そして日本の核家族化とも比較したうえで、高齢者が一人でなく家族や知人とクラスシステムが理想になるのでは、と結論を出しました。



オーブリー・デグレイ 「老化は避けられる」




次に見たのは、この老化を避けるという、画期的なアイディアについての動画です。
いやー、この内容理解するのは大変でした…。


以下、動画の概要です。

【前半】老化回避の実現性について?
①なぜ老化を回避する必要があるのか?
②それは実現可能な話なのか?
【後半】老化回避の突破口と技術の発展速度。
③もし30年寿命をのばす事が出来たら。
④年齢と死亡率の関係をなくす事が出来たら。
【まとめ】実現させる為には
⑤社会全体が重要視し、投資を進めるべきである

①:デグレイ氏は寿命を延ばす事についての反対意見をまず取り上げました。
非道特性、人口問題や寿命の格差拡大などの社会的問題について触れました。しかし彼は「毎日100万人が死んでいる。無意味に早い死をこれだけ見過ごすほど非道徳な事は無い」と主張しました。あっさりと切られて不満に思う方も多いかも知れません。

②:彼は更にこれの実現性について語ります。
不死身はSFや小説などで題材とされ実現性を疑のは無理もありません。しかし彼は医療で寿命を延ばせるのなら、いずれかは無老化(不死身ではなく「老化しない」という意味)が可能になってもおかしくはない主張しています。

③:まず、30年寿命を延ばすことが出来た場合のシナリオについて語ります。
医療技術によってあらゆる中年層の人々の寿命を30年間延ばす技術が発表されたとします。これは将来的に十分実現可能、というよりも今の先進医療はこのレベルに近いところにあるとも考えられます。この技術が発表された時に治療を始めた50歳は、技術が発展し新たな医療技術をその後生涯的に受け続けると、医療技術の方が老化速度を上回り、逆に健康的になることすら考えられます。

④:果たしてそれほど医療技術が発展するのでしょうか?
彼の答えは自信満々のyesです。これまでの飛行技術やIT技術を例にとりあげ、最初の大発見があり、それが幾度も進歩を重ねることによって改革的なものとなるのです。医療界で老化回避の大発見がまさに訪れようとしていると、科学的根拠を元に彼は言います。

⑤:では、医療的に見て、どういう解決策があるか?
人間はどのように死に向かって行くかを説明しました。順序としては
Metabolism⇒Damage⇒Pathology
生命維持活動(Metabolism)による修復が不完全であり、それによって蓄積してゆくダメージがある限界を越えると病因や死因(Pathology)に至るのです。メタボリズムとパソロジー両者には無数の項目が擧げられますが、ダメージは指折りで数えられるほどです。これ対する処置、エンジャニーリングよってこれらを取り除く事によって、老化回避あるいは無老化が実現可能だと確信している様です。



今回はグループを分けず、全員でディスカッションをしました。
まず老化を避ける技術がある場合、実際に老化を避けたいかという問いに対しては完全に二分しました。また何歳まで生きたいかに関しても様々な意見がありました。
興味深い(?)意見として、「あまり長生きしてしまうと孫やひ孫の名前をすべて把握できなくなって不都合である」等も挙がりました。笑 他にもやり残したことがある、などと死に際に後悔しない程度の寿命が欲しい、といった意見もありました。
結局は生きている間に何を成し遂げたいかによって、死や衰えを遠のかせたい願望の程度が変わるのでしょう。

また、デグレイ氏の「長生きをかなえるための技術を振興したい」という立場に真っ向から反対する勢力の言い分として、「その技術の振興は、長生きする人間が増えることによって生じる将来世代の負担を無視した、利己的な選択の余地を与えるきっかけとなってしまう」という意見に対しては、有効な反論があまりでませんでした。
畢竟長生きをするか否かという選択の余地は、権利として与えられるべきものと解釈すべきなのでしょうか。

それとあくまでもまっきーの見解ですが、不老不死に近い長生き(例えば寿命が1000年延びるなど)が実現してしまえば、そもそも時間に対して有限さや貴重さの意識が欠如し、生きる上で段階的に設ける短期的な目標も長期的目標に対しても達成のインセンティブが欠けてしまうため、長生きを望んだとしても、結果的に満足した人生が送れる可能性は極めて低いのではと思います。
時間は有限だからこそ充実するのであって、1000年も生きていたらパーキンソンの法則(Work expands so as to fill the time available for its completion.)のロジックを誇張して用いれば、与えられている寿命で達成できることくらいの成果しかあげることができないのではないでしょうか。


―――
来週の京大吉田でのTEDeeは、京大11月祭の前夜祭のためお休みです。
再来週11月28日(水)は開催予定ですので、ぜひぜひご参加ください。お待ちしています!
因みに次回のセッションで使う動画も絶賛募集中です。



TEDee@Kyotoについてもっと知りたい方はこちらもチェックしてみてください!→ facebook|https://www.facebook.com/groups/224161817629970/→ Twitter|TEDeekyoto


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