2012年12月7日金曜日

34th TEDee @ Kyoto Univ.

こんにちは。先週大会があってから、体調崩して、2週間ほどTEDee行けていないまっきーです><
今回もなおやくんにブログを書いて頂きました。ありがとうございます。


今回のTED動画はおなじみ、ダン・ピンクさんの「やる気に関する驚きの科学」。
あのアル・ゴアのスピーチライターのピンクさんのトークです。



ダニエル・ピンク氏は法科大学院を卒業後、方向転換をしビジネスマネージメントを専門しています。

彼はまず、"Candle Problem"を取り上げます。これは1945年に心理学者カール氏によって行われた実験です。
被験者は画鋲のはいった箱とロウソクを手渡され、壁にロウソクを接地するように指示されます。
最初は、画鋲でロウソクを壁に固定しようとしたり、ロウで引っ付けようとしたり、試行錯誤しますがなかなかうまくいきません。
しかし、10分程すると、箱から画鋲を取り出して、それを画鋲で壁に固定し、その上にロウソクを置くという解決法に至ります。
カール氏は被験者を二つのグループに分け実験します。
①「平均時間の調査」という説明を受けたグループ
②「短時間で出来たら報酬が貰える」という説明を受けたグループ
②の方が良いタイムでこの問題を解決すると思うのが一般的ですが、実は①の方が平均で約3分半も早く解決するのです。
ここで、画鋲をあらかじめ箱から取り出した状態で実験を行うと、②の方が早く解決するようになります。
このことから言えるのは、インセンティブは想像力を劣化させ、思考の幅を狭めるという事です。

ピンク氏は2種類のモチベーションについて語ります。
Intrinsic Motivators - 本質的な関心や興味
Extrinsic Motivators - インセンティブ、報酬や罰
Extrinsic Motivatorを与えられる事によって、Intrinsic Motivationが低下したのです。インセンティブでモチベーションを持ち上げようとしたのに、それ以上に関心や興味が低下すると、結果的にパフォーマンスに悪影響を及ぼすこととなるのです。
彼は"Candle Problem"に似た、ゲームを利用した実験を提示し、同様な結果が得られたことを示します。
これは、どのようにビジネスマネージメントに応用できるのでしょうか?
彼は、被雇用者のAutonomy(=自治の権利)が必要であると主張します。
ここでいうAutonomyとは雇用時間内で、被雇用者が自由に仕事をすることを意味します。
Autonomyを与えると、被雇用者は結果を気にする事無く、自分の好きな内容のものに取り組んだり研究したりして、そこから発見やイノベーションが生まれることが多いのです。つまりIntrinsic Motivationを見つけるきっかけ作りーSelf-directionーを大切にしなければいけないです。
欧州ソフトウェア会社Atlassian、メガIT企業Googleなどがこの方法を取り入れ、仕事時間の20%をAutonomyに割り振られています。
50%の発見やプロジェクトがこの20%の時間から生まれたものなのです。
Googleのフリーメール、Gmailが出来たのもAutonomyのおかげだそうです。
(日本の企業では、東レが有名ですね)
Intrinsic Motivationは協力なパワーを持っています。

このようなビジネスモデルは理想的なのでしょうか?
そんなことはありません。
EncartaというMicrosoftが出資して造られたオンライン百科事典があります。プロフェッショナルを雇い、相当の報酬を支払っていました。
しかし、知っての通りボランティアの書き込みで成り立つWikipediaが、Encartaに圧勝します。Intrinsic Motivationの勝利です。

最後にまとめとして、ビジネス界が知らず、科学が知っていることを三つ上げます。
1:報酬は限定的なケースでしか有効でない。
2:報酬は想像力を低下させる。
3:Intrinsic Motivationこそが生産性への鍵である。


―――

彼のプレゼンは全体として理論性、一貫性があり、聞き取りやすく印象的でした。
しかし、スライドを利用し視覚的な情報提示がもっとあればいいという指摘もありました。
また実験にも偏りがあるように感じる人がいたようです。
インセンティブがもっと多かったらどうなるのか?人格は影響するのか?
ういう心理が働いてそのような結果になったのか?など謎の部分が多いと感じました。
そもそも、インセンティブとは何かという事について話し合いました。
例えば、自己満足、自己実現欲、他人の為になりたいという気持ち。これらはextrinsic motivationなのでしょうか?
外的要因による影響が内在的である場合ー例えば手術などーではこのようにモチベーションを二元化してもいいのでしょうか?また、そもそも、intrinsic motivationとは何なのか?そしてどうやって見出だせる、見つけ出せるかに着いても議論しました。Intrinsic motivationは生まれつき持っている好奇心のような者で、幼心に戻る事によって見つけ出せるのではという意見がありました。
生産性を上げるかどうかは、場合によるとしか言いようがないという点で同意しました。
例えば、皿洗いのバイトでintrinsic motivationを見出だすのは難しいと思います。
日本の教育につても話し合いました。
日本では、結果や成績を重視するため想像力を育成する様な教育が行われていないと言う点で、"Candle Problem"に共通する点があるといえます。
以前の京大TEDeeの"Barry Schwartz: The Loss of Wisdom"でも、インセンティブの是非について深く議論しましたが、今回はビジネスマネージメントといった新しい切片で同じ問題を見つめ直すことが出来てたと思います。このテーマは何回話しても色んな意見が飛び交うので面白いですね。


―――

来週もTEDee @京大あります!
以下のイベントリンクから、参加表明して頂ければ幸いです!

https://www.facebook.com/events/527255973965813/

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